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会社設立

  • chiharu iguchi
  • 2017年1月1日
  • 読了時間: 7分

本日は、会社設立のメリット・デメリットについてお話し致します。

<メリット>

メリット1 対外的信用力の増大

会社は商号、住所、目的代表者、資本金、役員等が登記されますので、一般的に個人事業主よりも信用を得られます。 特に大手企業などは、実績があっても個人事業主へ仕事を発注しない会社もあります。

とはいえ、株式会社も資本金1円から設立できるようになったため、会社の方が必ずしも個人より信用があるというわけではありません。 あくまでその人の能力・信用の方が重要です。

しかしながら、同じ事業であれば、会社の方が信用面で明らかに有利です。

また、肩書や名刺に「株式会社」とあるだけで、取引先の印象がかなり違うことも事実です。 個人事業でも、不可能ではないですが、信用を得るまでには長い時間がかかります。

メリット2 節税面でのメリットが大きい

法人税は利益が増えても、原則一定税率なのに対し、個人事業では所得が増えるほど税率が高くなる累進税率で課税されます。

そのため、売上が大きい場合は、法人税が有利になります。その他にも、会社組織にした方が経費にできる費用が増加して有利となります。

個人事業主は売上から必要経費を差し引いた残り全部が自分の所得です。一方、会社の場合は、会社が社長である自分に給与を支払うという特殊な形式になります。

役員報酬を含めて給与として貰うお金は、会社の売上から必要経費を差し引いた残りの金額から、 さらに給与所得控除といって役員報酬の一定割合を必要経費とみなして所得から差し引くことができるため、 法人化した方が節税できる可能性が高くなります。 したがって、年間所得が400万円を超える水準になってくれば法人化を検討した方がよいでしょう。

税務上のメリットは、例えば次のようなものがあります。

  • 給与所得控除が使える 会社から役員報酬として給与をもらえば、売上から必要経費を控除した金額から、さらに給与所得控除(役員報酬の一定金額を必要経費とみなして所得から控除する)が使え、課税される所得を小さくすることが可能です。

  • 所得税と法人税の税率の差 個人事業の所得税は超過累進課税であるため、所得が増えれば増える程、税率が高くなっていきます。一方、法人の税率は一定なので、個人事業の所得が大きくなればなるほど、会社設立による節税効果は高くなります。

  • 経費の幅が増える 個人事業主の場合、家計用と事業用の線引きがどうしても曖昧なので、事業用として必要経費に認められる費用が小さくなります。一方、会社は株主のために利益を目的として設立されるため、会社の経費は原則としてすべて事業活動のために支出されたものとみるという前提があります。このため、自宅兼事務所、自動車、生命保険料、退職金など、法人にした方が経費として認められる幅が広くなります。

  • 欠損金を9年間繰越できる ある年度で損失が出た場合、その損失を翌年度以降の所得と相殺することができます。これを欠損金の繰越控除といいます。個人事業の場合、純損失の繰越は3年間しかできませんが、法人の場合、青色欠損金を9年間繰り越すことができます。

  • 消費税の免税効果 個人事業であっても法人であっても創業時の2年間(2期間)は消費税が原則として免税となります(ただし第1期の半年間の売上と給与等の金額がいずれも1,000万円を超える場合や、資本金が1,000万円以上等の例外はあります)。したがって、個人での創業から2年後に個人事業を廃止し、それに代わって法人を設立すれば、最長で4年間の消費税の納税免除が可能です。

  • 家族への給与 個人事業では原則として家族に給与を支払えません。青色事業専従者給与として税務署へ届出をした場合にのみ認められています。法人の場合はそういった制限が無いため、実際に事業に従事していれば、労働の対価として相当と認められる金額を家族に給与として支払うことが可能です。これによって、所得分散をして経営者の所得税、住民税を節税することが可能になります。で、ぜひ抑えておきましょう。

メリット3 資金調達が楽になる

資金が必要なとき、金融機関などからの融資交渉では、個人事業は融資条件が会社組織よりもかなり厳しくなります。

そのほか、融資以外での資金調達の可能性も広くなります。個人の場合、家計と事業の区別が曖昧で、また青色申告で満額の控除を受けない限り、貸借対照表の添付が免除されています。

このため金融機関は融資審査の際に、どれだけ貸しても大丈夫かが明確にはわからないので、法人に比べて融資条件が厳しくなります。

したがって個人事業で金融機関から融資を受けようとすると、多くの場合、第三者保証人を要求されます。

一方、法人の場合は、財産管理が厳格で、損益計算書と貸借対照表が作成されますので、金融機関も明確に融資判断ができ、広く資金調達の可能性が開かれています。

メリット4 優秀な人材が集まりやすい

世の中の雇用が不安定になっているため、安定的な雇用を求める人が多くなっています。 個人事業主の下で働くより会社の正社員として働きたいと思っている人が大半です。 大企業で働いていたような優秀な人材が個人事業主のところへ応募してくる可能性は、残念ながら高くはないでしょう。

メリット5 決算日を自由に設定できる

個人事業主の事業年度は1月〜12月と決められていますが、法人の場合は決算日を自由に決める事が可能です。 繁忙期と決算事務が重ならないようにすることで、1年間を通じて業務を平準化することが可能です。

メリット6 事業承継がしやすい

個人事業では、事業主が死亡し相続が発生すると、個人名義の預金口座が一時的に凍結されて、支払が困難になるなど事業に支障が生じます。 この点、法人化すれば代表者の死亡により会社の預金口座が凍結されたり、会社の資産が相続の対象となることはありませんので、代表者の死亡により事業がストップすることはありません。

メリット7 個人資産が差押えを受けない

個人事業の場合、借入金、仕入れ先への未払いなど、当然ですが、事業主が返済しなければなりません。

これに対して、法人の場合は出資の範囲内での責任にとどまりますので、会社が破産した場等でも形式的は個人に返済義務はありません。

但し、中小企業の場合、金額の大きな仕入代金の決済や、金融機関の借入について、社長個人が連帯保証人になることを求められる場合がほとんどなので、このような場合では、個人としての返済義務は個人事業主でも同じです。

<デメリット>

デメリット1 会社の設立に時間・コスト、および会社運営にコストがかかる

会社を設立するには、定款の作成・登記申請など個人事業に比べて時間と費用がかかります。

株式会社を設立する場合には、登記が必要なので、最低でも20万円程度の費用(定款認証費用5万2千円と登録免許税15万円)がかかります。

この他に資本金も用意する必要があります。

さらに、毎年税務申告を行う際に、たとえ会社が赤字であっても法人住民税の均等割は支払う必要があります。東京都の場合、均等割は最低でも7万円は毎年かかります。

デメリット2 社会保険への加入が義務づけられている

法人化すると、社長一人の会社でも社会保険(健康保険と厚生年金保険)への加入が義務づけられます。

社会保険の保険料は、国民健康保険と国民年金に加入する場合に比べて高額になります。

たとえば、所得が月に40万円の場合、個人事業主の場合、国民健康保険料は月に約5万円で、国民年金保険料は月に1万5千円で、合計で月に6万5千円ですが、会社の場合は健康保険料は月約3万8千円、厚生年金保険料は月約6万4千の合計で月に約10万2千円となります。

社会保険料は会社と本人が半分ずつ負担します。もっとも厚生年金はもらえる年金の額が国民年金に比べてかなり多いので、一概に厚生年金の方が損するわけではありません。

しかしながら、従業員を雇う場合には、社会保険料に係る会社の負担は大きくなるでしょう。

デメリット3 事務負担の増加

個人事業よりも会社組織では厳密な会計ルールに従った会計処理がおこなわれねばなりません。

税金の申告でも、個人事業の所得税より法人税の申告が複雑で、税理士・公認会計士などの専門家に依頼しないと時間がかかりすぎます。

個人事業の場合でも、専門家に依頼する場合がありますが、一般的に法人の場合の依頼費用の方が高くなります(事業規模にもよります)。

また、社会保険や労働保険の手続きも経常的に発生します。 さらに株主総会の開催、役員変更登記など法律上求められる手続も必要となり、個人事業主の場合に比べて格段に事務負担が増加します。

デメリット4 会社のお金を自由に使えない

個人事業主の場合、事業により得たお金は自分で自由に使うことができますが、法人化すれば会社の財産と個人の財産は明確に区分されるため、社長といえども会社のお金を自分のために使うことはできません。 会社からお金を借りる場合には、金銭消費貸借契約書を会社と交し、利息を支払う必要があります。

以上、会社設立のメリット・デメリットを簡単に説明いたしました。


 
 
 

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